子宮頸がんHPV併用検診
これまでの子宮頸がん検診(細胞診検査)はがん細胞の有無を検査するものですが、前がん病変の検出精度は約70%と言われています。しかし、HPV検査を併用することで、診断の精度を上げることができます。また、HPV検査で将来がんになるリスクの有無もわかります。
検診方法
HPV検査とは子宮頸がんの原因ウイルスに感染しているかどうかを調べる検査です。
HPVには150種類以上の型があります。その中で、特に13種類のタイプが子宮頸がんを引き起こす可能性が高く、高リスク型HPVと呼ばれています。
当協会では、がんと関係するこの高リスク型HPV13種類が存在するかどうかを検査します。
「HPV検査」は子宮頸がん検診で採取した同じ細胞を使用しますので、1回の細胞採取で「細胞診検査」と「HPV検査」ができます。
検査結果について
HPV検査結果は、採取した細胞にHPVが感染していなければ「陰性」、感染していれば「陽性」と報告されます。ウイルス型の詳細は出ません。
健常女性のHPV陽性率は20歳代が最も多くなっています。
しかし、ほとんどの人は一過性感染で、自分の免疫によってHPVは自然排除され30歳以降では10%程度に下がります。
ウイルスを排除することが出来ずに感染が長引いてしまうと(持続感染)、この中で一部の人に前がん状態や子宮頸がんが発症すると考えられています。
細胞診+HPV検査 結果の判定
併用検診では、細胞診検査とあわせて評価され、それぞれの結果によって次回の検診受診間隔が変わります。
検査結果 | 今後の方針 | |
---|---|---|
細胞診検査 | HPV検査 | |
異常なし | 陰性(-) | 3年後の検診受診 |
異常なし | 陽性(+) | 1年後に再検査 |
ASC-US(境界域) | 陰性(-) | 1年後に再検査 |
ASC-US(境界域) | 陽性(+) | コルポ診等による精密検査 |
要精密 | 陰性(-)陽性(+) | コルポ診等による精密検査 |
日本産婦人科医会 「子宮頸がん検診リコメンデーション-HPV-DNA検査併用検診にむけてー」抜粋
*HPV検査が陰性であっても、その後HPVに感染することもあるため、今回、ウイルスが見つからなかったといって、ずっと安心というわけではありません。定期的な子宮頸がん検診をお勧めします。
*HPV陰性の子宮頸がんも稀にありますので、おりものの異常や月経時以外の出血があれば、必ず産婦人科を受診してください。
サンテ77号(平成28年8月)【特集】新しい検査法~「HPV検査」
対象者
30歳以上の女性で、細胞診とHPV検査がともに陰性であった場合、3年後の受診が推奨されています。
注意事項
子宮頸がんHPV併用検診については、実施内容を検診実施主体と協議しながらおこなっていきます。
検査を受けられない方
- 生理中で出血量の多い方は正確な判定ができない場合があるためできるだけ受診を避けて下さい。
- 妊娠中の方、妊娠疑いの方はかかりつけの病院で受診してください。